2017年4月23日 茶の湯展

東京国立博物館茶の湯展を観に行ってきました。タイトル通り茶の湯に関わるものなら何でもありという感じで、多種多様な優品が集っていてスケールの大きな展覧会となっています。

スタートは南宋時代の巨匠たちの絵がずらりと並んで圧巻です。牧谿はもちろん梁楷や馬麟といった国宝重文が枯淡な趣があり、日本人の美意識に絶大な影響を与えたんだなと感慨に浸りました。

展示は足利将軍家の下での発展から千利休による大成、そして近代までを包み込む構成という長い歴史を扱うわけですが、各コーナーごとに目玉の作品が置かれていてメリハリがありました。展示品販売総じて小さいものが多いですが、じっくりと頭を使う内容となっていました。

感じたこと
1 茶道具の由来に面白いのがありました。基本的に舶来品としては中国の天目茶碗や高麗茶碗などがありますが、今回インド製の水差しや東南アジア製の茶釜といったものに出会えました。かつての幅広い地域との交易を物語る証拠がまさか茶道具の世界でもあるとは!と新鮮な驚きを感じました。

2 日本は絵画などのファインアーツの国というより、工芸とデザインの国なのだなと改めて思いました。明治期になって西洋の基準が入ってきた際、工芸や掛け軸などは美術でないとされましたが、それ以前の日本人にそのような意識はなく、面白い造形や凝った装飾をまさにアーティスティックにこなしていたのだなと伝わってきました。時の有力者が領地よりも欲しがった名碗などのエピソードを知るたびに、昔の日本人の工芸品に対する考え方の偉大さにハッとされます。そして博物館本館の方もほとんど工芸品の展示なのでやはり日本は工芸とデザインの国なんだなと思った次第です。

退屈さと無縁の充実した展覧会となっています。また私がいったときは藝大茶道部の呈茶席が行われていて、風流の華やぎを前に良い精神の保養になりました。