2017年4月22日 BABEL展

東京都美術館で開催中のBABEL展に行ってきました。日本では滅多に見られないネーデルランド地方の彫刻や、鬼才ヒエロニムス・ボスの作品などがてんこ盛り、といった感じです。資料系は少なく絵画作品がとても多いので退屈せずに楽しめる構成でした。

今回感じたこと
1 ネーデルランド地方(今のベルギーとオランダ地域)の絵画の精緻さに驚きました。人が描いたのではなく神が創った作品だとしたいばかりに、極限まで筆の痕跡を消す画家の執念に圧倒されます。宗教画全盛の頃はもちろん、イタリアルネサンスの影響で画題が肖像やギリシャ神話に変わっていっても、彼らの持つ精緻さの追求という基本態度は変わっていなかったように思えます。無名の画家から本展の主役ブリューゲルまで貫く、ネーデルランド地方絵画の真髄を垣間見れました。

2 ボスの作品の模倣版画と、それの影響下にあったブリューゲルの版画が非常に面白かったです。両者の作品に見られる、奇想という言葉だけでは浅く聞こえてしまうほどの濃密な構想には脱帽。七つの大罪や金の戦いといった作品群に見られる、傑出した想像性と寓意を巧みに含ませる思想性は観ていてただただ凄いなと思うばかりでした。目玉のバベルの塔も素晴らしい作品でしたが第一印象が小さい!笑 でしたので、ブリューゲルの版画が特に印象に残りました。

洗練、調和、安定、という私たちが思う西洋美術のかたちとは違う、雑多、怪奇な作品たち。ヨーロッパ美術を流れるもうひとつの系譜に出会えたいい機会となりました。