2017年4月30日 光琳と基一展

根津美術館にて開催中の光琳と基一の展覧会に行ってきました。有名な光琳の燕子花図の隣にその系譜を継いだ基一の夏秋渓流図が置かれ、見比べられる内容でした。

それにしても鈴木基一の絵に使われている顔料の生々しさには驚かされます。川の輪郭は金で縁取られ精緻な趣きを出していました。その深い青色は解説によると舶来品の超高級顔料をふんだんに使ったとあります。けばけばしい下品さに落ちない清雅な佇まい、そして雄大な構図と色彩にただただ立ち尽くすのみです。

スイスの劇作家デュレンマットは、古典的芸術は100万フランによって達成されると言いました。要するに優れた芸術を育むにはそれ相応のお金がいるということです。(現代美術では製作面において、必ずしもそうとはいえないが)基一が青を安い顔料で使っていたら、きっとこの作品は不安定なものになったことでしょう。とことんお金をかけるからこそ到達できる美もあるのだと思いました。もちろんそれとは別に鈴木基一の俊英ぶりも堪能でき、これからもっと彼の評価と名声が高まっていくのかなと確信できます。

庭園ではそろそろ燕子花が咲く季節みたいです。この展覧会は5月いっぱい開かれてますのでこの機会にどうぞ。